カレーが食べたい

ふと、カレーが食べたくなった。

カレーは様々な種類がある。

今日の気分は、インド人が営んでいると思っていたら、ネパール人が営んでいるカレーが食べたい。ちょっと味が濃い目でナンをつけると美味しいカレーだ。ネパール人のお店は接客が妙に暖かい。「イラッシャイマセー」とカタコトな日本語と素敵な笑顔で出迎えてくれる。

「業務スーパーの隣にあるネパール人のカレー屋にしよう」と私は思った。自転車を漕いでカレー屋の前まで来た。店の前でメニューを確認する。ナンとサラダとカレーのビジネスランチが800円だった。「これだな」と思ったが、800円に気が引ける。「800円あれば、色々な事が出来るな。時給ぐらいか。悩むな」と思いつつ、覚悟を決めて店に入ろうとしたが、店のドアにCLOSEの看板が掛かっている。中は明るいし、定休日でもない。「入って確認するのは面倒だなー」さっきまであった入店する気持ちは無くなった。

再度、メニューと睨めっこを始めた。すると、おばさんとおばぁさんの二人組がスーッと店に入っていった。CLOSEの看板に気が付いていないようだ。「私もあれぐらい無神経になれたらいいのにな」と思いつつ、「あの二人組が確認してくれるか」とホッとした。「いや待てよ、待ち時間出るじゃん」メニューの前で色々な事を妄想しているうちに、先越されてしまったようだ。悩みすぎて決断が遅れると先を越されてしまうらしい。カレーを食べに来ただけなのに、まるで人生の縮図のようだ。

「もういいや、隣の業務スーパーでカレー買うよ」と妥協案で乗り切る事にした。カゴを手に取り、鶏胸肉を2パック、枝豆をカゴに入れた。ふと、冷凍ピザに目が止まってしまった。「あ、これでいいや」と思い、ピザを手に取る。「いや、これまでの葛藤が無駄になる」と思いながらもカゴに入れてしまった。どうやら、私のご飯はピザになるらしい。カレーは何処へやら。業務スーパーでのお会計981円になった。カレーの方が安かった。